ラーンの豪快な笑いが、ビレーの街並みにこだました。遺跡から持ち帰った遺物は、予想に反して価値あるものだった。イシェは眉間に皺を寄せながら、帳簿とにらめっこしていた。
「これでまたしばらくは食うものがあるぞ!」
ラーンがそう言うと、イシェは小さくため息をついた。「本当に大穴が見つかるのかしら…」
イシェの言葉に、ラーンの笑顔は少し曇った。だが、すぐにいつもの明るさを取り戻し、テルヘルの方へ視線を向けた。
「テルヘルさん、次はどこに行きますか?もっと大きな遺跡があるかもしれませんよ!」
テルヘルの鋭い目は、地図をなぞっていた。「まだ先だ。今は準備が必要だ」
彼女は地図に指を置くと、静かに言った。「ヴォルダンとの距離が縮まっている。彼らが動き出す前に、我々が準備を終えなければならない」
ラーンはテルヘルの言葉の意味を理解していた。イシェもまた、その重みを察知した。彼らは、遺跡探索の興奮だけでなく、何か大きな戦いの前触れを感じていた。
その夜、ビレーの街角で、ラーンとイシェは密かに会話を交わしていた。
「テルヘルさんの目的は何だろう?」
イシェが尋ねると、ラーンは肩をすくめた。「わからない。でも、俺たちは彼女に協力しているんだ。彼女の目的が達成されれば、きっと俺たちの夢も叶うはずだ」
イシェは少し不安げな顔で言った。「本当にそうかな…」
ラーンの答えはなかった。彼はただ、テルヘルに同調するような、どこか強い信念を感じていたのだ。