ラーンが巨大な石門を叩き割った時の轟音が、ビレーの街はずれの遺跡を満たした。埃が舞い上がり、彼らの顔にかかった。イシェは咳き込みながら、「また無計画だなぁ…」と呟いた。
「いいんだよ、イシェ!こんな時こそ豪快にいかないと!」ラーンは目を輝かせ、石門の奥へと駆け込んだ。テルヘルは彼の後を静かに続けた。彼女の瞳には、どこか冷酷な光が宿っていた。
遺跡内部は薄暗く、湿った空気が漂っていた。壁には古びた絵画が描かれており、奇妙な文字が刻まれている。イシェは慎重に足場を確認しながら進んだ。「ここは一体どこなんだろう…」
「どうでもいいんだよ!宝探しの始まりだ!」ラーンの叫びが響き渡る。彼は興奮気味に、近くの石棺に向かって走った。
イシェはため息をついた。ラーンの行動はいつも予測不能で、危険を冒すことが多い。だが、彼の熱意と行動力には、どこか惹かれるものがある。
テルヘルは石棺の近くに立ち止まり、その表面の文字を凝視していた。「これは…」彼女は呟き、表情が硬くなった。
その時、壁の奥から不気味な音が聞こえた。まるで何かが這い寄ってくるような音だ。ラーンは一瞬動揺するも、すぐに剣を抜いた。イシェは緊張で息をのんだ。
「何の音だ?」ラーンの声が震えていた。テルヘルは冷静に言った。「気をつけなさい…」彼女の視線は壁の奥へと向けられていた。
突然、壁が崩れ落ちた。そこから現れたのは、 grotesquely twisted creature であった。それは漆黒の鱗で覆われ、鋭い牙を剥き出しにしていた。その目には狂気のような光が宿っていた。
「うあああー!」ラーンの叫びが、遺跡にこだました。彼は恐怖に駆られるように後ずさりした。イシェは剣を構えたが、体が震えている。
テルヘルは冷静さを保ち、剣を抜き出した。「逃げろ!ラーン、イシェ!」彼女の叫びは、まるで獣の咆哮のようだった。