ラーンが巨大な石の扉を蹴り破ると、埃っぽい空気が充満した部屋に広がった。イシェは咳き込みながら、鼻をつまんで言った。「また、どこかの墓か?」
「いや、違うぞ!」ラーンは興奮気味に石畳の上にある奇妙な模様を指差した。「これ、見たことあるぞ!あの古文書に載ってたやつだ!」
イシェが懐から小さな羊皮紙を取り出すと、確かにそこの模様と一致している。それは、かつてこの地に存在した古代文明の文字だった。
「ということは、ここは…」
「宝庫だ!」ラーンは目を輝かせた。イシェは少し不安を感じながらも、彼の手伝いを始めた。石畳を剥がすと、そこには金属製の箱が埋められていた。
テルヘルは慎重に箱を開け、中から取り出したのは、古びた金色の鍵だった。「これは…」
「何だ?」ラーンは首を傾げた。
テルヘルは古文書の内容を思い出した。「この鍵は、ある遺跡の入り口を開けるためのものらしい。伝説によると、その遺跡には、古代文明が秘めた強力な力があるという。」
ラーンの顔は興奮で真っ赤になった。「やった!これで大穴だ!」
イシェは少し冷静になるよう努めた。「でも、鍵だけでは開かないかもしれない。遺跡の位置や、開ける方法も分からないし…」
「大丈夫!」ラーンは胸を張った。「俺たちにテルヘルがいるじゃないか!きっと何か分かるはずだ!」
テルヘルは鍵を握りしめ、深い影に目をやった。「そうだな…。この鍵が、私達をヴォルダンとの戦いに近づけてくれるかもしれない。」