「おいラーン、あの噂聞いたか?」イシェが、目を輝かせながらラーンの肩を叩いた。「ビレーの南、あの崩れかけた塔の遺跡で、また奇妙な遺物が見つかったらしいんだって。」
ラーンは、今朝から壊れた鋤を修理していた。汗で濡れた額を拭いながら、イシェの言葉をぼんやりと聞き流した。「またか、そんな話ばかりじゃ疲れるよ。いつになったら大穴が見つかるんだ?」
イシェはため息をついた。「そうだな。でもさ、今回は違うみたいだぞ。村の長老が口にしたって、あの遺物は光るらしいんだ。夜空に輝く星みたいに...」
ラーンの耳は急にピンと立った。「光る?まさか...そんなの本当か?」彼は立ち上がり、イシェの肩を掴んで揺さぶった。「もし本当なら、それはとんでもないものだぞ!あの塔に行くしかないな!」
「ちょっと待てよ、ラーン!」イシェは慌てて引き戻そうとしたが、ラーンの目はすでに遠くを見ていた。
「あの塔には危険がいっぱいだって、村の人たちも口々に言ってるじゃないか!」
「そんなの知るか!大穴が見つかったら、俺たちの人生が変わるんだぞ!イシェ、お前も一緒に行くよな?」
イシェはため息をつきながら、ラーンの熱気に巻き込まれた。「ああ、わかったよ。でも、今回はちゃんと準備をしよう。」
二人は村を出発し、夕暮れ時に崩れかけた塔の遺跡にたどり着いた。かつて栄華を極めた文明の痕跡が、今なお残されているように見えた。しかし、その遺跡は危険な場所としても知られていた。
「ここには以前から噂があったんだ。」イシェは慎重に足取りを確かめながら言った。「村の長老の話では、この塔で起きた出来事について口承で語り継がれているらしい。昔々、この地に栄えた王国が、ある夜突然消滅したという話だ。そして、その原因が、この遺跡にあると...」
ラーンはイシェの話を聞きながらも、塔の中に目を向けると、まるで何かが彼を呼んでいるように感じた。
「おい、イシェ、行くぞ!」ラーンは、興奮気味に塔の中へと踏み入った。イシェはため息をつきながら、ラーンの後を追うしかなかった。