「おいラーン、今日はどこ行くんだ?」イシェが、眠そうな目をこすりながら言った。ラーンの寝ぐせの悪いくせ毛が、朝日に照らされて金色に輝いていた。「今日こそは!あの東の方角の遺跡だ。口利きで聞いた話じゃ、そこには古代の剣が眠ってるとさ!俺たちの人生を大きく変えるチャンスだ!」ラーンは興奮気味に言った。イシェはため息をついた。「また口利きか…本当にそんな噂を信じるのか?」「信じるしかないだろ!ほら、テルヘルさんも賛成してくれてるじゃないか」ラーンの言葉に、イシェはテルヘルの方を見た。テルヘルはいつも通り無表情で、ただ静かに剣を研いでいるだけだった。「準備はいいか?」テルヘルが鋭い目で問いかける。「よし、行こう!」ラーンが叫んで、三人は遺跡へと向かった。
遺跡の入り口には、崩れかけの石柱と奇妙な文様が刻まれた石板があった。イシェは石板に手を当てて、目を細めた。「ここには何か書かれている…でも解読するのは難しい」イシェが呟くと、ラーンは不機嫌そうに言った。「そんなことより早く中に入ろうぜ!」しかし、テルヘルが彼を制止した。「待て。この遺跡には罠があるかもしれない。慎重に行動する必要がある」テルヘルは石板の文様をじっと見つめ、何かを考えているようだった。
「よし、わかった。イシェ、お前が先に進んで罠を探せ。ラーン、お前は後ろを守れ」テルヘルの指示に従い、イシェが遺跡の中へ消えていった。ラーンはテルヘルに不満げな顔をした。「いつも俺に危険を負わせるんだな…」と呟くと、剣を構え、遺跡の入り口を見回した。
しばらくすると、イシェが戻ってきた。「罠は見つからなかったようだ。だが、この遺跡には何か奇妙な力を感じた」イシェは不安げな表情で言った。テルヘルは頷き、「慎重に進もう」とつぶやいた。三人は遺跡の奥深くへと進んでいった。
遺跡の中は薄暗く、湿った空気が漂っていた。壁には不思議な模様が描かれており、床には骨が散らばっていた。ラーンは緊張した表情で周囲を見回しながら、剣を握り締めていた。イシェもまた、不安そうに周囲の状況を観察していた。テルヘルだけは冷静さを保ち、常に周囲に目を配りながら、遺跡の中を進んでいた。
やがて、彼らは遺跡の奥にある大広間にたどり着いた。そこには、巨大な石棺が置かれていた。石棺の上には、古代の文字で何か書かれているようだった。「これは…!」イシェは驚きの声を上げた。「この石棺には、伝説の剣が眠っているという噂だ!」ラーンは興奮して石棺に近づこうとしたが、テルヘルが彼を制止した。「待て。まずは石棺を開ける前に、周囲を確認する必要がある」テルヘルは石棺の周りを見回し、何かを探しているようだった。
その時、イシェが突然叫んだ。「あそこ!あの壁に何か書いてある!」イシェが指さす方向には、壁に小さな穴が開いており、そこには奇妙な文字が刻まれていた。イシェが近づいて文字をよみ解こうとした瞬間、石棺から激しい光が放たれ、部屋中に響き渡る轟音がした。三人は目を細めて光を見つめると、石棺の上にあった文字が消え、代わりに新たな文字が現れた。「口利き…この遺跡の真の目的は…」イシェは声にならないほど驚いていた。