ラーンの大剣が遺跡の石壁を叩き割り、埃が舞った。
「よし、これで道が開けたぞ!」
彼は豪快に笑って振り返ったが、イシェは眉間に皺を寄せていた。
「ここは以前にも来た場所じゃないか?あの時、ラーンが天井を崩して逃げ出した場所だ」
「ああ、そうだったな。でも今回は違う!ほら、ここを見ろ!」
ラーンは壁に刻まれた紋章を指差した。確かに、以前とは違う紋章だった。イシェも認めた。
「珍しい紋章だな。もしかしたら未確認の遺跡かもしれない」
その時、テルヘルが鋭い視線で二人を見据えた。
「この遺跡はヴォルダンと関わりがある可能性が高い。特にこの紋章は...」
彼女は言葉を濁した。ラーンの無邪気な表情とは対照的に、テルヘルの目は冷酷に光っていた。
「よし、進もう!大穴が待っているぞ!」
ラーンが先頭に立って遺跡の奥へと進んでいく。イシェは彼を少しだけ心配そうに見ていた。テルヘルは静かに呟いた。
「この遺跡から何か手に入れば、ヴォルダンへの復讐に一歩近づく...」
彼女の瞳には、復讐心と、どこか悲しげな影が宿っていた。