ラーンが遺跡の入り口前で、いつものように大口を開けて笑った。「よし!今日は必ず何か見つかるぞ!」
イシェは眉間に皺を寄せながら、彼の背後から「またそんな自信満々で言ってる…」と呟いた。
彼らはビレーから少し離れた場所に位置する、忘れ去られた寺院跡へと足を踏み入れた。朽ち果てた石造りの壁が立ち並び、かつて栄華を極めた様子を伺わせる柱の一部だけが、 ahora 影に覆われた空間に静かに佇んでいた。
テルヘルは地図を広げながら、「この寺院には、ヴォルダン軍が何かを隠したという噂がある。我々の目的はそれを探すことだ」と静かに言った。彼女の目は鋭く、まるで影の中に潜む獲物を狙う獣のようだった。
ラーンは興奮気味に「よし!ヴォルダンのものなら、きっと価値ある財宝が入ってるはずだ!」と叫んだが、イシェは彼の背中に手を当てながら、「落ち着いて。テルヘルが言うように、ここは危険かもしれない。油断は禁物だ」と冷静に言った。
深く沈み込んだ石畳の上を慎重に進む3人。寺院の中心部には巨大な祭壇があり、その上には、まるで空から降ってきたかのように、輝く水晶の球体が置かれていた。
「あれが…?」ラーンは息をのんだ。
テルヘルはゆっくりと近づきながら、「これがヴォルダンが隠した物なのかもしれない」と言った。水晶球に触れると、突然激しい光が放たれ、3人は目を shielding するしかなかった。そして、その光が消えた時、彼らは目の前で広がる光景に言葉を失った。
そこは、かつて見たことのない壮大な風景が広がる異世界だった。空を覆うのは、黒く燃えるような雲ではなく、星々の輝きを放つ神秘的な天体だった。
「これは…」イシェは震える声で呟いた。「何処なのか…?」
テルヘルは冷静さを保ちながら、「ここは別の世界だ。ヴォルダンが隠した秘密…それは、この世界への扉だったのかもしれない」と言った。
しかし、その瞬間、水晶球から黒い影が這い出してきた。それは、まるで闇そのもののような姿で、3人に襲いかかってきた。
ラーンは剣を抜いて立ち向かったが、その影には歯が立たない。イシェは必死に逃げようとしたが、影は彼らを捕らえるように伸ばした手足をのばし、イシェを拘束してしまった。
テルヘルは、冷静さを失わずに「ラーン!逃げろ!」と叫んだ。そして、影に向かって魔法の光弾を放った。しかし、その光弾は影に吸い込まれ、消滅してしまった。
ラーンの顔には恐怖の色が浮かんでいた。「イシェ!」
テルヘルは影に向かっていった。「お前は…ヴォルダンが仕組んだものか…?私の復讐を果たすために…」
しかし、影は彼女を捕らえ、3人を全て闇の中に呑み込んでいった。
ビレーの街では、ラーンの大穴の夢は、いつまでも叶わぬものとなってしまうのだろうか。