ラーンの大斧が石壁を切り裂き、埃を巻き上げる。イシェが後ろから「待て！あの奥か？」と叫ぶが、ラーンは既に崩れた通路の先へ駆け込んでいた。
「やれやれ、またお前のせいで危険な目に遭うことになりそうだ」イシェは溜め息をつきながら懐からランプを取り出した。テルヘルは静かに周囲を警戒しながら言った。「ここはかつてのヴォルダン帝国の砦跡らしい。遺物だけでなく、罠も仕掛けられている可能性が高い」
ラーンの足音だけが響く暗い通路を進んでいくと、巨大な石扉が現れた。扉には複雑な文様が刻まれており、まるで生きているかのように脈打っているように見えた。イシェが扉に近づくと、冷たい風が吹きつけ、背筋を凍りつかせるような不気味な声が聞こえてきた。
「何だこれは…」イシェは震える手で扉に触れた瞬間、強烈な光が周囲を包んだ。 blinding light.
目が覚めると、ラーンとイシェは広大な石室の中にいた。天井には巨大な水晶が輝き、壁には精巧に作られた彫像が立ち並んでいる。まるで神殿のようだった。
「ここは…？」ラーンの声が響く。
テルヘルは水晶の光をじっと見つめながら言った。「ここには何かがある。そして、それが我々の目的と繋がるはずだ」
その時、石室の中央に置かれていた祭壇から赤い光が放たれ、空中に浮かび上がる。その光はゆっくりと形を変え、やがて人間の姿へと変化した。それは美しい女性の姿をした存在だった。
「ようこそ…」女性は柔らかな声で言った。「私はこの場所を守りし者、アリア。汝らが求めるものは、この世界に受肉する鍵である」