取捨

必要なものと不要なものを区別して選び取ること。

物語への影響例

価値判断の主観性。選択の責任。過去との決別と保存の緊張関係。

生成サンプル(サンプルの仕様

「よし、今回はあの崩れかけた塔だな!」

ラーンが目を輝かせると、イシェはため息をついた。いつも通り、彼の計画性には欠如を感じずにはいられなかった。

「また遺跡に飛び込むつもりか? そんな大穴になるわけないだろう」

イシェの言葉にラーンの笑顔は消えなかった。

「いや、今回は違う!あの塔、昔は王宮の一部だったらしいんだってな。もしかしたら、王冠とか、宝石が埋まってるかもよ!」

ラーンは興奮気味に剣を構える。イシェは彼の熱意に圧倒されつつも、冷静さを保った。

「宝などないだろう。それに、あの塔は危険だぞ。崩落する可能性もある」

「大丈夫だって!テルヘルが調査したって言うんだもん!」

ラーンはそう言いながら、テルヘルの方へ視線を向けた。彼女はいつも冷静沈着な表情で、何かを企んでいるかのような雰囲気を漂わせていた。

「あの塔には価値あるものがある。それを手に入れるためには、危険も伴う」

テルヘルの言葉は、まるで予言のように響いた。イシェは不安を感じながらも、ラーンの熱意とテルヘルの言葉に押されるように、やがて塔へと足を踏み入れていくことになる。

塔の中は暗く湿り気があり、朽ちかけた石畳が足音を吸収するように静かだった。ラーンは先頭を切って進んでいくが、イシェは彼の後ろを歩きながら周囲を警戒していた。

「何かあったらすぐに声をかけろよ」

イシェの言葉にラーンは軽く頷いたが、彼の目は塔の奥深くに光る何かを見据えているようだった。

やがて彼らは、塔の中心部にある大きな部屋にたどり着いた。そこには、巨大な石棺が置かれており、その周りには奇妙な模様が刻まれていた。

「ここか…」

テルヘルは呟きながら、石棺へと近づいていった。ラーンの顔色も少し険しくなった。イシェは二人を静かに見守りながら、何かが起こる予感がした。

テルヘルは石棺の蓋に触れると、その瞬間、部屋中に冷たい風が吹き荒れ始めた。壁から石が崩れ落ち、床が激しく揺れた。ラーンは剣を構え、イシェは身を隠しながら状況を判断していた。

石棺の蓋がゆっくりと開き、中から何かが姿を現した。それは、黒曜石のような体を持つ奇妙な生き物だった。その目は赤く燃え盛っており、鋭い牙がむき出しになっていた。

「これは…!」

ラーンの言葉は途中で途絶えた。彼は生き物に襲いかかる準備を始めた。イシェもまた、自分の身の安全を確保するために動き出した。

しかし、テルヘルは石棺の生き物を見つめながら、どこか満足げな表情を見せていた。

「ついに…見つけた」

彼女はそう呟きながら、ゆっくりと手を伸ばした。

イシェは一瞬、彼女が何をしようとしているのか理解できなかった。だが、その次の瞬間、彼はテルヘルの真意を悟った。

「これは…取捨の儀式なのか…」