ラーンが豪快に笑う。遺跡の奥深くで発見した石棺の蓋をこじ開ける瞬間だった。「ほらな！俺が言ってただろ？大穴だ！」イシェは眉間に皺を寄せながら、棺の中に覗き込む。「ただの骨だ。宝なんてないわ」ラーンの笑顔は一瞬曇ったが、すぐに元通りの明るさに戻った。「まあそうだな。でも骨格も立派なものだぞ！歴史の証しだ！」と強がるラーン。イシェはため息をついた。いつも通り、ラーンの無茶な行動に巻き込まれることになるだろう。
テルヘルは石棺の様子を冷静に見つめていた。彼女は骨格の周りに細かな模様があることに気づき、指先でそっと触れた。「これは…ヴォルダンの紋章だ」彼女の目は鋭く光った。「この遺跡はヴォルダンが何かを隠していた場所なのかもしれない」ラーンとイシェは互いに顔を見合わせた。
「ヴォルダン？」ラーンが首を傾げた。「聞いたことないな。どこにあるんだ？」テルヘルは静かに答えた。「大国だ。エンノル連合とは緊張状態にある。そして、俺たちに復讐を誓っている」彼女の言葉に、ラーンとイシェは不気味な予感を覚えた。
「よし！」ラーンのいつもの豪快な声で遺跡探検が再開された。しかし、イシェは何かが amissだと感じていた。テルヘルの言葉、そしてその奥に潜む何か。彼女は自分たちの目的を隠しているのではないかと疑い始めた。
彼らは遺跡の奥深くへ進み、新たな部屋へとたどり着いた。そこには、豪華な装飾が施された祭壇が置かれており、中央には輝く宝石が鎮座していた。「おお！これは大穴だ！」ラーンの興奮の声が響き渡った。イシェは宝石に目を奪われたが、同時に違和感を感じた。宝石の輝きはどこか不自然で、まるで…偽物のようだった。
テルヘルは祭壇に近づき、宝石をじっと見つめた。「これは…ヴォルダンが作り出した偽物だ」彼女の言葉にラーンとイシェは驚愕した。偽物だと？一体何を目的とするのか？
「この遺跡には何もない。俺たちは騙されたんだ」イシェは呆然とした表情で呟いた。テルヘルは微笑を浮かべた。「そうではないわ。私たちはヴォルダンが企む真実に近づいているのよ」彼女の言葉の裏に、何か別の計画が隠されているように思えた。ラーンとイシェは互いに顔を見合わせた。真実とは何なのか？そして、彼らにはどんな役割が与えられているのか？
彼らはまだ何も知らない。しかし、この遺跡探検は単なる宝探しではなく、何か大きな陰謀に巻き込まれる予感を強く抱いた。