「よし、ここだ!」ラーンが興奮気味に叫んだ。 崩れた石の壁に囲まれた狭い空間の中央には、青白い光を放つ球体があった。イシェは眉間に皺を寄せながら近づき、慎重に球体を触れた。「何か反応がある…?」
「わっ、やべーな、この大きさなら大穴確定だろ!」ラーンの目が輝き、興奮を抑えきれない様子だった。イシェは彼の無鉄砲さにため息をついた。
「落ち着きなさい。何かわかったら言ってくれ。」テルヘルが冷静に指示を出す。彼女は球体の表面を細かな模様と刻印で確認し、メモを取り始めた。「これは…古代ヴォルダン語の記号だ。恐らく何かしらの装置か…」
ラーンの期待は膨らむ一方だったが、イシェの表情は曇り始めていた。彼女はテルヘルの言葉から、この球体が単なる宝である可能性が低いことを感じ取っていた。
「テルヘルさん、この球体、本当に安全なの?何か危険な罠とか…」
「心配する必要はない」テルヘルは自信ありげに答えた。「私はこの装置を解明し、その価値を最大限に引き出す。収穫を手に入れるのだ。」彼女の瞳には、復讐心ではなく、冷酷な野心的な光が宿っていた。