ビレーの薄暗い酒場の一角で、ラーンが豪快に笑い声を上げていた。「おいイシェ、見てみろ!また大物を掘り当てたぞ!」彼の目の前には、錆び付いた剣と、奇妙な模様が刻まれた石の板が置かれていた。イシェは眉間にしわを寄せて、剣を手に取って眺めた。「またか…ラーン、この程度のもので収益になると思うのか?」
「ええっ?いいじゃないか!いつか大穴が見つかるかもしれないぞ。それに、今日はテルヘルさんが高額の日当を払ってくれただろう?」ラーンの笑顔は、イシェの冷静さを打ち消すように眩しかった。テルヘルは静かに酒を傾けながら、二人のやり取りを聞いていた。「確かにこの遺跡は、興味深いものを持っているようだ。」彼女はゆっくりと口を開いた。「特にこの石板には、ヴォルダン王朝の紋章に似ている部分がある…もしかしたら、ヴォルダンに関する何か重要な手がかりが隠されているかもしれない。イシェ、お前には古代文明の知識があるはずだ。調査してみろ。」
イシェはため息をつきながら、石板に目を落とす。「わかった…でも、それだけで収益になるわけじゃないだろう?」ラーンの笑顔が一瞬曇ったが、すぐに元に戻った。「大丈夫だ!テルヘルさんが調査費用を払ってくれるだろう!」彼はそう言って、再び酒を飲み始めた。イシェは、ラーンの楽観主義に苦笑しながら、石板の模様をじっくりと眺めた。ヴォルダンに関する手がかり…もし本当にそうだとしたら、それは彼らにとって大きな収益をもたらすかもしれない。しかし、同時に危険も増すことを彼女は知っていた。