「おい、イシェ、今日はいい感じの場所を見つけたぞ!」ラーンの興奮した声がビレーの朝の静けさを破った。イシェはいつものように、ラーンの後ろから少し遅れてついていく。
「また大穴だとでも思ったのかい?」イシェは眉をひそめた。「あの日みたいに、巨大な岩に挟まって抜け出せなかったらどうしようか。あの時の収入では、治療費すら賄えなかったじゃないか」
「あいつはあれだけ大穴だったんだぞ! 今回は違うって!」ラーンは自信満々に胸を張った。だが、イシェの目は冷静だ。「念のため、今回は少し慎重にやろうよ。あの遺跡は、ヴォルダンとの国境に近いからな。何かあったら大変だぞ」
テルヘルが合流した時、ラーンの興奮はさらに高まった。「今日はいい収入になる予感がする!」と彼は叫んだ。テルヘルはいつものように冷静に状況を見極めた。「準備は万端か?今回は特に危険な場所だ。慎重に進もう」
遺跡の入り口付近では、何人かの武装した男たちが警戒を怠らない様子で立っていた。彼らはヴォルダンからの派遣で、遺跡の周辺を監視しているようだった。
「あの者たちは何者だ?」イシェは不安そうに尋ねた。「ヴォルダンの兵士らしいぞ。遺跡を狙っているのかもしれない」ラーンは剣を握りしめた。「用心するぞ」
遺跡の中は暗く、湿った空気が漂っていた。足元には崩れかかった石畳が広がり、天井からは鍾乳石が垂れ下がっていた。ラーンは懐中電灯の光を ahead に向けながら慎重に進んだ。イシェは後ろから彼を警戒しながら進み、テルヘルは二人よりもさらに後方を歩いていた。
突然、壁から不気味な音が聞こえた。「何だ?!」ラーンは振り返ったが、何も見えなかった。「気のせいか」彼は言い聞かせたが、イシェは緊張した表情で周囲を警戒していた。
その時、床に仕掛けられた罠が発動し、ラーンは足下に置かれた石板に足を踏み入れてしまった。彼は転倒しながら叫んだ。イシェが慌てて駆け寄り、ラーンを支えた。「大丈夫か?」イシェは心配そうに問いかけた。
「痛いが、生きてる。だが、足がやられたかもしれない」ラーンは顔をしかめた。「罠か…あの男たちが仕掛けたのか?」
テルヘルが冷静に状況を把握した。「罠を外す方法を探せ!」彼女は命令するように言った。イシェは慌てて石板の周辺を調べ始めた。
「ここだ!」イシェは小さなレバーを発見し、それを慎重に動かした。すると、石板はゆっくりと元の位置に戻り、罠は解除された。ラーンは安堵のため息をついた。
しかし、彼らの目の前に広がる遺跡の奥には、さらに危険な場所が待ち受けていることを、彼らは知らなかった。