「おい、イシェ!あの石像、どうだ?絶対に何か隠れてるぞ!」
ラーンが興奮気味に巨大な石像の足元を指差した。イシェは眉間にしわを寄せながら、石像を一周して観察する。
「またかよ、ラーン。いつもそうやって言ってるじゃないか。あの石像は明らかにただの飾りだ」
「いやいや、見ろよ!この彫刻、なんか不自然だろ?まるで何かを隠すように作られてるみたいだぞ!」
ラーンの言葉にイシェはため息をついた。確かに石像の彫刻には不自然な箇所がある。だがそれは単なる芸術的な表現だろうと、イシェは冷静に判断した。
「それって、ただのあなたの妄想じゃないのか?」
「妄想?俺の直感は外れたことないぞ!ほら、一緒に探してみるか!」
ラーンは石像の足元に手を伸ばし始めた。イシェは諦めきれない気持ちと、ラーンの無謀さに苛立ちを覚えた。
その時、背後から冷たげな声が響いた。
「その石像に触れるな」
振り返るとテルヘルが立っていた。鋭い視線はラーンの腕に注がれていた。
「なぜ?何か問題でも?」
ラーンが反論する前に、テルヘルは静かに言った。
「あの石像には呪いがかかっている。触れた者は必ず死に至る」
ラーンの顔色が変わった。イシェも驚きを隠せない。
「呪いだと?そんなこと、どこで聞いたんだ?」
「情報収集は私の仕事だ。信じるか信じないかは君たち次第だが、私は真実しか言わない」
テルヘルはそう言うと、ラーンとイシェの視線を交わし、警告するように言った。
「あの石像には触れるな」