「よし、今回はあの崩れかかった塔だ。噂では奥に秘宝が眠っているらしいぞ」
ラーンは興奮気味に、イシェの肩を叩いた。イシェは眉間にしわを寄せながら、地図を広げた。
「またそんな噂話? 結局いつも空振りじゃないか。それにあの塔は危険だって聞いたぞ。崩落する可能性もある」
「大丈夫だ、大丈夫!俺が行くから!ほら、イシェも一緒だろ?いつもお前が俺の足を引っ張っているんじゃないかと思ったんだ」
ラーンは笑ってイシェを睨んだ。イシェはため息をつきながら、地図に記された塔の位置を確認した。
「仕方ないな。でも、今回は本当に危険だったら引き返すぞ」
二人はビレーを出発し、崩れかけた塔へと向かった。道中、テルヘルが馬に乗って追いついた。
「遅くなった。準備はいいか?」
テルヘルの冷たい視線に、ラーンとイシェは小さく頷く。テルヘルは彼らの後ろから少し離れた場所で、静かに馬を走らせた。
塔の入り口にたどり着くと、ラーンの顔は興奮で真っ赤だった。
「さあ、イシェ!大穴を掘り当ててやるぜ!」
イシェはラーンの様子を見て、複雑な表情になった。
「本当に友達だとは思えないよ…」と呟きながら、イシェも塔へと続く階段に足を踏み入れた。テルヘルは少し遅れて、三人を追うように塔の中へと消えていった。