「よし、今回はあの崩れた塔だな！」ラーンが拳を握りしめた。イシェは眉間に皺を寄せた。「また突撃するつもり？あの塔は危険だって聞いたぞ。遺跡の調査記録には、罠が仕掛けられているって書かれている」
「そんなこと気にすんな！きっと大穴があるはずだ。ほら、テルヘルさんだって賛成してるだろ？」ラーンはテルヘルの方を見やった。彼女は冷静に地図を広げ、「崩れた塔は確かに興味深い。特に地下部分だ。古い記録によると、そこにはヴォルダンの軍が隠していたという情報がある」と答えた。
イシェがため息をついた。「またヴォルダンか…」。ラーンは「お前もヴォルダンに恨みでもあるのか？」と尋ねた。イシェは言葉を濁し、視線をそらした。テルヘルが鋭い目で彼を見つめた。「イシェには秘密があるようだ」と呟いた。
ラーンは何も言わずに塔へと向かった。イシェも仕方なく後を追う。テルヘルは二人が少し離れた場所で立ち止まり、何かを呟いた。「ヴォルダンへの復讐…そして、友を失った悲しみ…。この旅で彼らは何を見つけるのだろうか？」
塔の入り口には奇妙なシンボルが刻まれていた。ラーンが手をかけようとした時、イシェが叫んだ。「待て！あれは危険だ！」
しかし遅かった。シンボルに触れた瞬間、地面が崩れ、ラーンは深い穴に落ちていった。
「ラーーン！」イシェとテルヘルが同時に叫んだ。イシェは駆け寄ろうとしたが、崩れてきた岩に阻まれた。テルヘルは冷静に状況を判断し、「急いで彼を助けなければ！イシェ、お前はここにいて、周囲を確認しろ。私は下に降りる」と言い残し、穴に飛び込んだ。
暗闇の中、ラーンは意識を失いそうだった。その時、かすかに光が近づいてくるのが見えた。テルヘルが手を差し伸べている。「大丈夫だ。助ける」と彼女は言った。ラーンの手は、彼女の手にしっかりと握られた。
イシェは二人を上へ引き上げ、安全な場所に運び出した。ラーンは意識を取り戻し、テルヘルに感謝の言葉を伝えた。イシェは二人が見つめ合い、何かを感じた。それは友情よりも深いものだった。