「おい、イシェ、今日は何か変だな」。ラーンが不吉な予感を口にした時、すでに遅かった。地面が激しく揺れ、埃を巻き上げながら巨大な亀裂が遺跡の入り口からビレーへと延びていく。
イシェは冷静さを保とうとした。「落ち着いて、ラーン!あの亀裂を見てみろ。ヴォルダンの兵士だ!」
確かに、亀裂から這い出してくるのはヴォルダン軍の兵士たちだった。彼らは荒々しくビレーへと押し寄せてきた。住民たちはパニックに陥り、逃げ惑う。
「テルヘルはどこだ?」ラーンは剣を握り締め、イシェに問いかけた。
「まだ戻ってこない…。あの女は一体何をしているんだ…」イシェは不安げに呟いた。
その時、テルヘルが血まみれで戻ってきた。「ヴォルダン軍の隊長…殺した」彼女は息も絶え絶えに言った。「だが、彼らには目的があるようだ。遺跡の奥深くにある何かを狙っている…」
ラーンの顔色が変わった。「遺跡の奥深くに?あの危険な場所…?」
「ああ、彼らは何かを手に入れようとしている。それを阻止するためにも、我々が遺跡に入るしかない」テルヘルの目は冷酷に光っていた。
イシェはラーンと顔を見合わせた。「もう後戻りできないんだね…」彼はため息をつきながら剣を抜いた。
ビレーの住民たちの悲鳴が耳を襲う中、ラーン、イシェ、そしてテルヘルは遺跡へと足を踏み入れた。彼らは、ヴォルダン軍の野望を阻止しなければならない。そして、自分たちの運命をも変えるかもしれない、遺跡の謎に挑むことになる。