ラーンの粗雑な斧の swing が埃を巻き上げ、古い石棺の蓋を粉砕した。イシェがため息をつきながら棺の中を覗き込んだ。「また空っぽか」
「ほら、イシェ、そんなに悲しむ顔するなよ。次はきっと何かあるはずだ！」ラーンは陽気に笑った。だが、彼の笑顔に歪みがあることにイシェは気がついた。ここ数週間、遺跡探しの成果は乏しく、ラーンの豪快な言葉の裏には焦りが隠れているように見えた。
「テルヘルが言ったように、ここはかつて大規模な遺跡だったはずだ」イシェは呟いた。テルヘルの情報によると、この遺跡群はかつて強力な文明の拠点であり、その中心には貴重な遺物と莫大な財宝が眠っているとされていた。だが、実際には見つかっているのは朽ち果てた建造物と空っぽの墓ばかりだった。
「そうだろ？だから諦めるな！」ラーンが言った。「いつか必ず大穴を見つけるんだ。俺たちはビレーの英雄になるぞ！」
イシェは彼の言葉に軽く頷いたが、心の中は不安でいっぱいだった。テルヘルは彼らの探索を支援する代わりに、発見した遺物の独占を要求していた。彼女はヴォルダンへの復讐のため、強力な遺物を手に入れようとしていたのだ。イシェは彼女の目的には賛同するが、テルヘルの冷酷な手段には疑問を感じていた。
その時、イシェの足元に何か光る物体が落ちた。それは小さな金色の箱だった。イシェが慎重に拾い上げると、表面には複雑な模様が刻まれていた。箱を開けると、そこには輝く宝石と一枚の羊皮紙が入っていた。
「これは…」イシェは言葉を失った。宝石は明らかに価値のある物だが、羊皮紙には何かの地図が描かれていた。それは複雑な記号で書かれており、イシェには理解できなかった。
ラーンが興奮したように叫んだ。「これは大穴だ！ついに我々が！」
イシェは彼を制止した。「ちょっと待って、ラーン。この地図…何か違う気がする」
その時、テルヘルが背後から低い声で言った。「地図だ。その遺跡の真の場所に繋がる地図だ」彼女の目は燃えるような欲望に満ちていた。
イシェは地図を握りしめながら、不吉な予感を感じた。この地図が彼らをどこへ導くのか？そして、テルヘルがそれを手に入れることで何が起きるのか？イシェは自分の占有するべきものは何か、深く考え始めた。