ビレーの酒場「荒くれ者」にラーンが、イシェを連れて入ってきた。賑やかな店内を見渡しながら、「今日は大物だぞ、イシェ!テルヘルがまた遺跡の話を持ちかけてきたんだ!」とラーンは豪快に笑った。イシェは眉間に皺を寄せながら、「またか…」と呟いた。最近、テルヘルが持ちかける遺跡はどれも危険度が高い上に、報酬も微々たるものだった。
「今回は違うぞ!あのヴォルダンの勢力圏に近い遺跡なんだって。危険なのは確かだが、その分、 reward も大きいらしい」ラーンは興奮気味に言った。イシェはテルヘルの目的を知っていた。彼女はヴォルダンへの復讐を誓っており、そのためにあらゆる手段を使う。今回の遺跡も、単なる遺物探しの依頼ではないのだろう。
イシェはラーンの肩を掴み、「落ち着いて、ラーン。あの遺跡は危険すぎるぞ。ヴォルダンの勢力圏だなんて、私たちには手出しできない」と忠告した。しかしラーンの目は輝いていた。「大穴を見つけられるかもしれないんだぞ!それにテルヘルも、今回は本気みたいなんだ」
イシェはため息をついた。ラーンの熱意を冷ますことはできない。結局、彼らはテルヘルに会いに行くことになった。荒くれ者から少し離れた場所にある一軒家。そこにテルヘルは待っていた。彼女はいつも通り、冷酷な眼差しで彼らを睨みつけた。「準備はいいか?」とテルヘルは尋ねた。ラーンはニヤリと笑って頷き、イシェは深くため息をついた。
彼らはヴォルダン勢力圏へと向かう道に足を踏み入れた。