ビレーの酒場で、ラーンが豪快な笑い声をあげていた。「おいイシェ!またあの遺跡から奇妙な石が出てきたらしいぞ!今度は一体何なんだ?」
イシェはため息をつきながら、ラーンの肩を軽く叩いた。「またそんな話か。お前はいつまでその夢を語るつもりだ?あの石、ただの石じゃないのか?価値があるのか?」
ラーンはにこやかにグラスを傾けた。「価値があるかどうかは分からないけど、いつか大穴になるかもしれないだろ?それに、探す楽しみもあるんだよ!」
そこにテルヘルが近づいてきて、鋭い視線で二人を見下ろした。「まだ夢見ているんですか。現実を見てください。ヴォルダンとの戦いは迫っている。私たちには時間がない。」
「テルヘルさん、またヴォルダンですか。今日は遺跡の話でもしましょうよ」ラーンは笑顔を崩さなかったが、彼の瞳にはわずかな影が浮かんでいた。
テルヘルは冷笑的に笑った。「遺跡?無駄な時間です。私の情報によると、ヴォルダン軍は新たな兵器開発を進めている。私たちにはそれを阻止する手段が必要です。」
イシェは眉間に皺を寄せた。「一体どんな兵器なのか?」
「その情報は手に入れていません。しかし、確実に脅威です。そして、その兵器を止める鍵が遺跡にあると私は信じています。」テルヘルは二人を見据え、言葉を続けた。「私は勝利のために、あらゆる手段を使います。あなたたちも私のために戦ってください。」
ラーンの表情は硬くなった。彼はテルヘルの言葉に隠された真意を感じ取っていた。彼にとって、遺跡探索は単なる冒険ではなく、自分たち自身の未来を賭ける戦いだった。そして、勝利のためには、どんな犠牲も払う覚悟が求められていた。