ラーンの豪快な笑い声がビレーの朝の静けさを打ち破った。イシェは眉間に皺を寄せながら、テーブルの上の粗末な地図を広げた。「今日の目標はあの崩れかけた塔だ。テルヘルが言うには、そこには古代の魔導書が眠っているらしい」
ラーンは剣を片手に、目を輝かせていた。「魔導書か!もしかしたら大穴になるぞ!」
イシェはため息をつきながら地図に指を走らせた。「その魔導書、テルヘルは一体何のために欲しがってるんだ?」
「そりゃあ obvious だろ?ヴォルダンへの復讐には、強力な力が必要なんだと。あの女、本当に怖いもの知らずだ」
ラーンはそう言って立ち上がったが、イシェは彼の背中に手を置いた。「ちょっと待てよ、ラーン。今回は何かが違う気がするんだ。テルヘルがいつもより熱心すぎる。何か隠してるんじゃないか?」
ラーンの笑顔は少し曇った。「いや、そんなことはないだろう。テルヘルは俺たちを信じてくれてるんだ」
イシェは彼の言葉に納得しなかった。テルヘルの目的、そしてその背後にある真の動機。それは彼らにとって未知なる危険な領域へと続く扉だった。