「準備はいいか?」ラーンが剣を構えながらイシェに声をかけた。イシェは小さく頷き、背負った包みをぎゅっと締め直した。テルヘルは不機嫌な顔で地図を広げ、「ここだ。この遺跡の奥深くにあると伝えられている」と指さした場所には、複雑に絡み合った線路が描かれていた。
「よし、行くぞ!」ラーンの豪快な声が響き渡る中、彼らは遺跡へと足を踏み入れた。埃っぽい通路を抜けると、巨大な石の扉が現れた。扉には複雑な模様が刻まれており、テルヘルが慎重に解読し始めた。「ヴォルダン王朝の紋章だ。この遺跡は、かつてヴォルダンに仕えた者のものだったようだ」
扉が開くと、そこは広大な地下空間だった。壁には古代の文字で書かれた碑文が並べられ、中央には巨大な祭壇がそびえ立っていた。「ここには何かがあるはずだ」テルヘルが目を輝かせた。イシェは不安げに周囲を警戒し、「何か変だと思う…」と呟いたが、ラーンはすでに祭壇へと駆け上がっていた。
「おい!待て!」イシェの呼び声も届かず、ラーンは祭壇の中央にある石版に触れた瞬間、激しい光が爆発した。空間全体を揺るがし、三人は吹き飛ばされた。
意識を取り戻したラーンは、床に sprawled したテルヘルの姿を見つけた。「テルヘル!どうしたんだ?」ラーンの叫びに、テルヘルはゆっくりと起き上がり、「…勅命だ」とつぶやいた。「この遺跡には、ヴォルダン王家の勅命が隠されている…」
イシェが駆け寄り、「勅命?何のこと?」と尋ねると、テルヘルは苦い顔で説明し始めた。
「ヴォルダン王に仕えた者たちが、ある計画を実行するためにこの遺跡に遺した勅命。その内容を解読すれば、ヴォルダンの弱点が明らかになるかもしれない」
ラーンの目には強い光が宿り、「ヴォルダンへの復讐の鍵か…」と呟いた。イシェは複雑な表情で、テルヘルの言葉とラーンの反応を見つめていた。この遺跡から始まる物語は、彼らの人生を大きく変えることになるだろう。