日差しが容赦なく照りつける中、ラーンは汗だくになりながら岩壁をよじ登った。ビレーから少し離れた遺跡の入り口。いつもより深い場所へ潜るのだ。
「イシェ、どうだ? この奥行きなら何かあるんじゃないか?」
ラーンの後ろを歩いてきたイシェは眉間に皺を寄せた。「ラーン、本当にここが目的なのか? この遺跡は以前から調査済みだと記録にあったはずだ。危険な場所だぞ。」
「記録なんて気にすんな! 今回は違うって気がするんだ!」
ラーンの熱意に押され、イシェも仕方なく頷いた。すると背後からテルヘルが冷たく声をかけた。「二人は本当に無謀だ。この遺跡はヴォルダン軍が以前利用していた可能性が高い。罠が仕掛けられているかもしれない。」
「テルヘル、お前はいつも心配性だな」ラーンは笑った。「それに、俺たちにはテルヘルがいるだろ? わかったら、少し深堀りしてみようぜ!」
テルヘルはため息をつきながらも、二人が遺跡に進むのを黙って見守った。彼女はヴォルダンとの復讐を果たすためにこの遺跡調査に協力していたが、ラーンとイシェの無謀さにいつも手を焼いていた。彼らの無計画さは危険を招くだけでなく、彼女の計画にも影響を与えるのだ。
遺跡内は暗く湿っていた。埃っぽい空気の中、かすかな光が差し込んでいる場所があった。
「ここだ!」ラーンは興奮気味に駆け寄った。「何かあるぞ!」
そこには、石の扉が埋め込まれていた。イシェは扉に刻まれた文字を注意深く観察した。「これは…古代語だ。警告文のように見える…」
「警告文?そんなもん気にすんな!」ラーンは扉を押し動かそうとした。
だが、扉は budge しなかった。その時、床から赤い光が立ち上り、部屋全体を赤く染めた。
「これは…」テルヘルは驚愕した。「ヴォルダンの罠だ! 早く逃げろ!」
しかし、時遅しだった。
床に埋め込まれた石柱から炎が噴き上がり、ラーンとイシェを包み込んだ。二人は絶叫しながら燃え上がる炎に抵抗しようとしたが、すぐに力尽きて倒れ込んだ。
テルヘルは炎に怯えることなく、冷静に状況を判断した。彼女はヴォルダンが仕掛けたこの罠から逃れるためには、遺跡の構造を理解する必要がある。そして、ラーンとイシェを救うには、彼女の知識と能力だけでは足りないことを悟った。