ビレーの朝は薄霧と冷気に包まれていた。ラーンが雑巾で剣を磨いているとイシェが、いつものように眉間にシワを寄せて言った。「今日はあの遺跡だな。あの迷路構造は厄介だぞ。テルヘルも言っていたように、今回は慎重に進まなきゃ。」
ラーンの反応は鈍い。彼は剣を片付けながら、「ああ、そうだな。でもきっと大穴が見つかるさ！今日は俺の直感が冴えてるぜ！」と、いつもの調子で言った。イシェはため息をついた。「直感？ラーン、あの遺跡は罠だらけだぞ。制御不能な魔物が徘徊しているという噂もある。」
テルヘルが彼らを待っていた場所は、いつものようにビレーの外れにある宿屋だった。彼女はテーブルに広げた地図を指さしながら、「今日の目標は、この遺跡の最深部にある部屋だ。そこには、ヴォルダンがかつて持ち去ったとされる遺物があるかもしれない」と告げる。
ラーンの目は輝き、イシェは不安げに地図を見つめていた。「制御できない魔物？」とラーンが尋ねると、テルヘルはニヤリと笑う。「心配するな。私は対策を講じている。」彼女は小さな瓶を取り出した。中から赤い液体がわずかに漏れていた。「これを使えば、一時的に魔物の動きを抑制できる。」
三人は遺跡へと向かった。迷路のような通路を進んでいくうちに、イシェは不安を感じ始めた。ラーンの無茶な行動に何度も制止をかけ、テルヘルの指示に従いながら慎重に進んだ。だが、彼らの前に立ちはだかるのは制御不能な魔物だった。赤い液体を使い魔物を抑え込むも、その効果は限られていた。
ラーンは剣を抜き、勇敢にも魔物に立ち向かった。イシェは彼の後ろから弓矢で支援する。テルヘルは冷静に状況を見極め、隙を見て魔物の動きを封じるための術を使う。三人は息の合った連携で魔物を撃退することに成功する。だが、イシェはラーンの無茶な行動に憤りを感じていた。
「ラーン、もう少し考えて行動しろ！」とイシェが怒鳴ると、ラーンは苦笑した。「大丈夫だ、イシェ。俺には制御不能なものは何もないぜ！」と彼は言った。しかし、イシェの不安は募るばかりだった。
彼らは遺跡の最深部へと続く階段にたどり着いた。そこには、ヴォルダンが持ち去ったとされる遺物が安置されていた。しかし、その前に巨大な魔物が出現した。制御不能な魔物だ。