ラーンがいつものように大口を開けて笑っていると、イシェが眉間にしわを寄せた。「また遺跡で宝探すって?あの噂の洞窟は危険だって聞いたぞ。お前は一体何を考えているんだ?」
ラーンの笑顔は少し曇った。「おいおい、イシェ、いつまでもビレーにこもってるわけにはいかないだろう!いつか大穴を掘り当ててやるって決めたんだろ?あの洞窟には古代の武器が眠っていると噂じゃねえか。きっと高値で売れるぞ!」
イシェはため息をついた。「ラーン、いつもお前は夢ばかり見ている。現実を見なさい。あの洞窟には危険な魔物がいるという話もある。それに、どんな宝が見つかったって、結局すぐに使い込んでしまうだろう」
その時、テルヘルがテーブルに手をついて、鋭い視線で二人を睨んだ。「二人が言い争ってる間に私は先に進むわよ。あの洞窟の情報は貴重なもので、私の手元に利息も生むものなのだから」
ラーンとイシェはテルヘルの言葉に目を丸くした。テルヘルはいつも冷酷で目的のためなら手段を選ばない女性だ。しかし、その言葉を聞いた途端、二人は不思議な一体感を感じた。まるで、テルヘルが示す道こそが、彼らの運命を左右する鍵なのかもしれないという予感がしたのだ。
イシェはラーンの腕をつかみ、力強く言った。「よし、行くぞ!あの洞窟に潜って、大穴を掘り当ててやる!」 ラーンも頷き、三人はテルヘルの後をついて、危険な洞窟へと足を踏み入れた。