冷たい風が吹き荒れ、ビレーの街角には初雪がちらつき始めた。ラーンは厚手の毛皮のコートを締め付けながら、イシェとテルヘルに声をかけた。「よし、今日はあの西の遺跡だ!噂によると、そこには古代王の墓があるらしいぞ!」
イシェは眉間に皺を寄せた。「またそんな話を…? 過去の遺跡調査データでは、その場所は崩壊が激しく危険だと記されているわ。」
「大丈夫だって!俺たちは最強のチームだぞ!」ラーンは豪快に笑って、剣を肩から下ろした。
テルヘルは冷静な目で二人を見据えた。「今回は慎重に行こう。ヴォルダンとの戦いが近い。無駄な犠牲は避けたい。」
イシェはテルヘルの言葉に頷きながら、道具のチェックを始めた。ラーンの無茶な行動にはいつも呆れていたが、彼の熱い情熱と仲間への忠誠心は本物だった。そして、テルヘルが抱く復讐の炎は彼女を常に前に進ませる原動力となっていた。
三人はビレーの街を後にし、雪深い山道を目指した。初雪は次第に激しくなり、視界を遮り始めた。それでもラーンは前へ前へと進んでいく。彼の足取りは、夢と希望に満ち溢れていた。
遺跡の入り口には、崩れかけた石造りの門が立っていた。ラーンの瞳は輝き、イシェは緊張した表情で周囲を見回し、テルヘルは静かに剣を構えた。彼らは、遺跡の中に眠る謎と危険に立ち向かう準備をしていた。