ラーンが巨大な石扉の前で足を止めた。「よし、イシェ、開けろ!」
イシェが眉間に皺を寄せながら扉の脇にある複雑な模様を指さした。「この記号…見たことあるような…」
「そんな時間ない!早く!」ラーンの不穏な笑みが広がる。テルヘルは背後から冷たく言った。「慎重に、イシェ。あの記号は危険を意味する可能性がある。」
イシェがためらいながら記号の配置を確かめ始めたその時、扉の奥から不気味な音が響き渡った。石の軋む音と、かすかな獣のような唸り声だ。ラーンは剣を抜いて構えた。「なにかいるぞ!」
「待て!」テルヘルがラーンの腕を引き止めた。「あの記号…これは警告だ。扉を開ける前に何かを捧げなければいけない。」
「そんな…」ラーンの言葉にイシェが割り込んだ。「もしかしたら、扉を開けるための儀式が必要なのかもしれない。何か捧げるもの…例えば、この遺跡で見つけた宝石とか?」
ラーンがイシェの提案に賛同した。テルヘルも渋々頷いた。「いいだろう。しかし、安易な行動は控えること。」
宝石を扉の模様に合わせた場所に置くと、石壁に刻まれた目が光り始めた。扉はゆっくりと開かれ、その先に広がるのは漆黒の空間だった。ラーンの顔に興奮の色が浮かぶ。
「よし、行こう!」ラーンが先頭に立ち、闇の中へと消えていった。イシェがテルヘルに不安げな視線を向けると、彼女は小さく頷いた。「準備はいいか?切り返しが必要になるかもしれない。」