ビレーの灼熱の日差しが照りつける中、ラーンは巨大な石碑の前に立ち尽くしていた。汗だくになりながら、イシェとテルヘルも彼の背後に続いた。
「ここだ、確実にここに何かがあるはずだ!」
ラーンの興奮した声に、イシェは眉をひそめた。「またか、ラーン。あの石碑には何も刻まれてないじゃないか」。確かに、荒れ果てた石碑には何も書かれていなかった。それでもラーンは、まるで何かを感じ取ったかのように、目を輝かせていた。
テルヘルは冷静に周囲を警戒しながら言った。「この遺跡はヴォルダン軍が以前調査したと記録がある。何か見つかったのかもしれない」。
「ヴォルダン…」ラーンの表情が曇った。「あの野郎ども、俺たちが手に入れたはずの財宝を奪い取ったんだろ?いつか必ず復讐してやる!」
イシェはラーンの熱意に少しだけ心を動かされたが、現実的な部分から切り返した。「でも、今は遺跡の中を探すべきだよ。もし何か見つかったら、あの石碑がヒントになるかもしれない」。
彼らは石碑の周りを探し始めた。すると、イシェが小さな隙間を発見した。「ここ…何かあるかも!」
慎重に石を動かすと、その下に小さな金属製の箱があった。箱を開けると、中には古びた巻物と、不思議な形の水晶が入っていた。
「これは…」テルヘルは水晶を手に取り、目を細めた。「これは古代文明の秘宝かもしれない」。彼女は水晶から微かな光が分泌されていることに気づいた。「この光…何かを感知しているようだ」
ラーンは興奮を抑えきれずに言った。「ついに大穴が見つかるぞ!これで俺たちは…」
しかし、その時、地響きとともに地面が激しく揺れ始めた。石碑が崩れ落ち、空から砂埃が舞い上がった。
「これは…!」イシェは恐怖の声を上げた。
その時、水晶から放たれた光が、激しい脈動を繰り返しながら、周囲の遺跡を照らした。そして、その光は地面に深く沈み込み、何かを呼び起こすかのように、地鳴りのように唸り始めた。