ビレーの朝焼けが、ラーンの寝起きの顔を照らした。いつものようにイシェは既に準備を終えていた。「今日はあの廃墟跡じゃないか? 聞いた話だと、奥には未探索の部屋があるってな」イシェは地図を広げ、指を動かした。ラーンは眠気を振り払いながら、「よし、行こうぜ!」と声を上げた。
テルヘルは、いつものように冷たい目で二人を見下ろしていた。「今回は慎重に。あの遺跡にはヴォルダンが手を染めていた噂がある。何か見つかったらすぐに知らせるんだ」
廃墟跡は荒れ果てた石造りの建物群だった。かつて栄えた都市の面影をわずかに留めているだけだ。ラーンは剣を手に、イシェと共に崩れかけた通路を進んでいった。「ここには何かあるはずだ」とラーンは目を輝かせた。イシェは、ラーンの背中に手を置きながら、周囲を警戒した。
奥深くに進むにつれて、不気味な静けさが広がった。壁には奇妙な紋章が刻まれており、時折、かすかな音だけが響く。
「ここは一体…」イシェは不安げに呟いた。ラーンは、紋章に目を凝らしながら、「何か…違うぞ。この遺跡はヴォルダンのものじゃない」とつぶやいた。
その瞬間、地面が激しく揺れた。崩れ落ちる天井から、黒い影が姿を現した。それは巨大な獣のような姿で、鋭い牙を剥き出しにして襲いかかってきた。ラーンは剣を振り下ろし、獣に立ち向かった。イシェは、獣の動きを冷静に見極めながら、ラーンの背後から支援した。
激しい戦いの末、ついに獣を倒すことに成功したが、その時、ラーンの足元から光り輝く石が姿を現した。それは奇妙な形状の石で、不思議な力を秘めているようだった。ラーンは石を手に取り、「これは…」と呟いた。
その時、テルヘルが駆け寄ってきた。「あの石…ヴォルダンが探していたものだ!」彼女は驚愕の表情を見せた。
ラーンの心には、深い疑問が湧き上がった。ヴォルダンが何のためにこの石を探しているのか?そして、この遺跡に隠された真実は何なのか?彼の目の前に広がる未来は、希望と不安でいっぱいだった。