ラーンの寝起きの悪さは notorious だった。イシェがもう準備を終えて待っているのに、彼はまだ布団から抜け出そうとしなかった。「ほら、ラーン。今日はテルヘルさんが待ってるって。」イシェの言葉でやっとラーンは目を覚ました。「ああ、そうか。今日はあの遺跡だな。よし、いくぞ！」と、彼は眠い目をこすりながら立ち上がった。
ビレーの朝はいつも新鮮な空気で満たされていた。街を後にすると、太陽がまだ低く、辺境の山々に影を落としていた。テルヘルは既に待ち構えていた。「遅刻だぞ。準備はいいか？」彼女の冷たい声にラーンは少しだけ緊張した。イシェはテルヘルの鋭い視線を感じながら、いつも通り冷静に対応した。「準備万端です。今日はどんな遺跡ですか？」
テルヘルは地図を広げ、指で遺跡の位置を示した。「ここはヴォルダンとの国境に近い。危険な場所だ。だが、その分、貴重な遺物があるはずだ。」彼女の言葉にラーンの目は輝いた。「よし！大穴だ！」と彼は叫んだ。イシェはため息をつきながらも、彼の熱気に少しだけ引っ張られるように感じた。
彼らは出発の準備を終え、山道へと足を踏み入れた。太陽が登り始め、辺りは少しずつ明るくなってきた。テルヘルは常に周囲を警戒しながら歩を進め、ラーンとイシェは彼女の後ろをついていった。
「今日は特に慎重に行動するんだぞ」テルヘルの言葉が、彼らの背中に重くのしかかった。