「おい、イシェ、今日はどこ行くんだ?またあの崩れかけた塔か?」ラーンが寝ぼけ眼をこすりながら言った。イシェは小さな焚き火の炎を見つめながら、静かに「今日の依頼は、東の丘にある遺跡だ」と答えた。
ラーンの顔色が曇った。「また遺跡か…最近、大穴が見つかる気配がないぞ。あのテ MPLヘルも、何か秘密を知ってるんじゃないのか?」ラーンはテルヘルの不気味な雰囲気を常に警戒していた。
イシェは深くため息をついた。「そんなことより、今日の報酬はどうする?あの崩れかけた塔の探索で得た遺物は、ほとんど価値がないものばかりだった」と呟きながら、視線をテルヘルに向けた。彼女はいつものように、冷静に地図を広げ、遺跡の構造を分析していた。
「この遺跡には、古い文献によると、ヴォルダン王家秘宝に関する情報が隠されているらしい」テルヘルは氷のように冷たい声で言った。「もし、それが本当なら…」
ラーンの目は輝き始めた。「おい、イシェ、もしかしたら今回は大穴が見つかるぞ!あのヴォルダンの秘宝だぞ!」
イシェはため息をついた。ラーンの興奮を止められるわけがない。しかし、テルヘルの目的が何か、そしてその目的達成のために彼女はどんな手段を使うのか?イシェは不安を感じていた。
彼らは遺跡の入口に近づくと、そこにはヴォルダン国境を警備する兵士たちが立っていた。「何だ?ここは立ち入り禁止だ」と兵士の一人が声を荒げた。ラーンが剣を抜こうとした瞬間、テルヘルが手を上げ、彼らを制止した。
「我々はエンノル連合の遺跡探索者だ。許可証を提示する」テルヘルは冷静に言った。兵士たちは許可証を確認すると、渋々立ち去った。
遺跡内部は暗く湿っていた。ラーンの足音だけが響き渡る。イシェは背筋がぞっとした。ここは何か不気味な空気が漂っている。
「ここにはヴォルダン王家の秘宝が眠っているはずだ」テルヘルは言った。「我々は、それを手に入れるためだ」
イシェはテルヘルの言葉に恐怖を感じた。彼女は本当にヴォルダン王家の秘宝だけを欲しがっているのか?それとも何か別の目的があるのか?
彼らは遺跡の奥深くへと進み、ついに大きな石棺を発見した。石棺には、ヴォルダン王家の紋章が刻まれていた。
「これがヴォルダン王家の秘宝か…」ラーンは目を輝かせた。イシェは石棺に手を伸ばそうとした瞬間、テルヘルが叫んだ。「待て!」
石棺の蓋がゆっくりと開くと、そこには…
「出国」という言葉がイシェの頭に浮かんだ。彼女は自分の未来、そしてこの国の未来を思い描き始めた。