「おい、イシェ、今日はどこ行くんだ？」ラーンが陽気に叫びながら、ビレーの賑やかな市場を抜け出す。イシェは背の高いラーンの後ろを少し遅れて歩いていた。
「今日の依頼先は、あの東の山麓にある遺跡だと言ったはずよ。テルヘルが地図を見せてくれたわ」イシェは小さな声で言った。「地図？見せてくれよ！」ラーンは振り返りながら言いかけたが、イシェはすでに歩き始めていた。「急いでいるの。朝飯も食べずに来たのよ」
テルヘルの指示に従い、東の山麓へと向かう二人の後ろ姿に、太陽の光が強く射していた。遺跡への道は険しく、日差しを遮る木々もまばらだった。ラーンは汗を拭いながら、「今日は熱いわな。早く遺跡に入って涼みたいぜ！」とつぶやく。イシェは黙々と歩き続け、時折地図を確認する。
「ここだな」イシェが立ち止まり、 Terrainの険しい崖に開いた小さな洞口を指さした。「遺跡の入り口か…」。ラーンの顔色が少し曇った。「なんか不気味だな…」
テルヘルが言っていたように、この遺跡は危険な雰囲気を漂わせていた。二人は互いに頷き合い、重い足取りで洞窟に足を踏み入れた。洞窟の中は薄暗く、湿った冷気が流れ込んできた。ラーンは剣を握りしめ、イシェは小さな懐中電灯を点けた。
「気をつけろ…」イシェの声が震えていた。「何かいる気がする…」ラーンの心臓は高鳴り、緊張感に満ちていた。二人は慎重に足場を選んで進み、深い闇の中を進んでいった。
やがて、洞窟の奥深くで、奇妙な光がちらつき始めた。それは、まるで生きているかのように脈打つ光だった。「何だあの光は…」ラーンの声が震える。イシェも言葉を失い、二人は静かに光に向かって近づいていった。
その光は、遺跡の中心にそびえ立つ巨大な石柱から発せられていた。石柱には、複雑な模様が刻まれており、それはまるで古代の文字のようだった。そして、その石柱の上部には、輝く水晶が埋め込まれていた。
「これは…！」イシェの声が震えていた。「もしかして…」ラーンは目を輝かせながら、水晶に手を伸ばそうとしたその時、突然、地面が激しく揺れ始めた。
「何だ！？」ラーンの叫び声が洞窟中に響き渡った。石柱から発せられる光が強くなり、激しい脈動を繰り返す。そして、石柱の周りで、影が動き始めた。それは、まるで生きているかのように蠢く闇だった…。