ラーンの粗雑な剣の扱いを見てイシェはため息をついた。遺跡の入口付近で、ラーンが壁の石を叩き割ろうとしていたのだ。
「もっと丁寧に扱わないと、貴重な遺物に傷つけてしまうぞ」
イシェの言葉にラーンは不機嫌そうに顔をしかめた。
「そんな細かいこと気にすんなって。 anyway、早く中に入りたいんだ」
テルヘルは二人が言い争うのをじっと見ていた。彼女の視線は冷たく鋭く、まるで獲物を狙う獣のようだった。
「時間がない。無駄な議論は控えなさい」
テルヘルの声にラーンもイシェも黙り込んだ。三人は遺跡の中へと足を踏み入れた。
遺跡内部は薄暗く、埃っぽい空気が漂っていた。壁には古びた絵画が描かれており、何らかの物語を語りかけているようだった。イシェは慎重に足取りを進め、周囲の状況を観察していた。一方、ラーンはAlreadyいつものように不注意で、足元を見ていなかった。
突然、床から音がした。ラーンの足が空洞に落ちそうになったのだ。イシェは素早くラーンを掴んで引っ張り上げ、バランスを保たせた。
「危ない!」
イシェの声が響き渡った。ラーンは顔面蒼白になり、冷や汗を流していた。
テルヘルは冷静に状況を判断し、近くの石板を指さした。
「ここに何かあるようだ。慎重に調べてみよう」
三人は石板の隙間から覗き込んだ。そこには、複雑な模様が刻まれた小さな箱が置かれていた。イシェは慎重に石板を持ち上げ、箱を取り出した。箱を開けると、中には古い巻物が入っていた。
「これは何だ?」
ラーンの好奇心旺盛な視線が巻物に向けられた。しかし、テルヘルは慎重に巻物の表面を撫でながら言った。
「これは危険な知識かもしれない。安易に触れるべきではない」
イシェも同意するように頷いた。三人は巻物を持ち帰り、安全な場所で調査することを決めた。遺跡探索はいつも予想外の出来事に見舞われるものだった。冷静さを保ち、慎重に行動することが重要だ、とイシェは心の中で呟いた。