ラーンの大斧が、埃を巻き上げながら遺跡の奥深くへと突き刺さった。石壁には幾筋もの亀裂が入るが、肝心な扉は budge しない。「またかよ」イシェがため息をついた。「この遺跡、一体何なんだよ」。
「まだ諦めるんじゃないぞ、イシェ！きっと、ここには大穴があるんだ！」ラーンの目は輝いていた。彼の言葉に、イシェは苦笑した。ラーンはいつもそうだった。希望に満ち溢れ、その熱意は誰にも止められない。だが、イシェの頭の中では冷徹な計算が巡っていた。この遺跡探索はテルヘルの依頼で、報酬も高額だった。しかし、彼女には何か隠された目的があるような気がしないでもなかった。
テルヘルは、静かに壁を撫でながら言った。「ここは古代文明の技術が使われているようだ。この扉を開けるには特定の鍵が必要なようだが…」彼女の言葉に、ラーンとイシェは顔を合わせた。鍵を探し出すことは容易ではないだろう。だが、テルヘルは何かを知っているような、自信に満ちた表情だった。
「よし、俺たちが鍵を見つけ出す！」ラーンの声が遺跡にこだました。イシェは彼の熱意に少しだけ心を動かされた。しかし、同時に、テルヘルの真意を計りかねる不安も募っていた。この遺跡探索の先に何が待ち受けているのか。イシェは、冷徹な目で周囲を観察し続けた。