埃っぽい遺跡の奥深く、ラーンが石化した壁を叩き割った。崩れ落ちる瓦礫の下から、鈍く光る金属片が姿を現した。
「おっと、これは!」
ラーンの顔色が変わったのが見えた。イシェは彼の肩越しに金属片を覗き込んだ。複雑な模様が刻まれた、古びたブ broochだ。
「これ、一体何?」
イシェの声に、テルヘルが答えた。「古代ヴォルダンの遺物だ。この紋章を見る限り、かつて王家の者が身につけていたものだろう。」
ラーンの表情は曇った。「ヴォルダンか…。またあの国に絡んでしまったな。」
テルヘルは冷静に言った。「これはただの遺物ではない。ヴォルダンの歴史を解き明かす鍵になるかもしれない。そして、我々がヴォルダンへの復讐を果たすための道筋を示してくれるかもしれない。」
イシェが眉間に皺を寄せた。「復讐?私たちは遺跡探索者だ。そんな危険なことに巻き込まれたくない。」
「この brooch は単なる遺物ではない。」テルヘルは力強く言った。「これは再生の兆候だ。ヴォルダンの支配から解放されるために、我々は過去と向き合わなければならない。そして、この brooch が示す道をたどるのだ。」
ラーンはテルヘルの言葉に心を揺さぶられた。かつての栄光を誇ったヴォルダンは、今は滅びた国家でしかなかった。だが、その歴史には、まだ多くの秘密が眠っているのかもしれない。そして、その秘密が、彼らを新たな未来へと導く鍵となるかもしれない。
ラーンの視線が brooch に向けられた。金属片は鈍い光を放ち、まるで何かを語りかけているようだった。イシェの不安な表情とは対照的に、ラーンの心には、冒険への期待と、どこか懐かしい興奮が渦巻いていた。