ビレーの薄暗い酒場で、ラーンが豪快に笑い声を上げた。イシェは眉をひそめた。「また遺跡でトラブルでもあったのか?」「いや、今回は大漁だったんだ!」ラーンはテーブルに山盛りの銅貨を叩きつけた。「新しい剣を買うぞ!」イシェはため息をついた。ラーンの衝動的な性格は変わらない。
「あの遺跡…何か変だと思わないか?」イシェは静かに言った。「あのシンボル、見たことある気がする…」ラーンは首をかしげた。「そんなもん気にすんな。金さえあればいいんだ!」
その夜、イシェは一人で眠れなかった。あの遺跡のシンボル、どこかで見たことがあるような気がしたのだ。そして、テルヘルとの取引にも不自然な部分があった。彼女はいつも以上に秘密主義で、遺跡の詳細を明かさなかった。イシェは密かに調べ始めた。テルヘルの過去、ヴォルダンとの関係、そしてあの遺跡の真の姿。
数日後、イシェは衝撃的な事実を知ることになる。テルヘルが隠していた真実、そして、ビレーに眠るもう一つの遺跡の存在。それはヴォルダンを滅ぼす鍵となるかもしれない、と同時に、ラーンの命を危険にさらすものだった…。