ラーンが遺跡の入り口で深呼吸をする。埃っぽい空気が喉を刺す。いつもならイシェの機嫌を損ねるような冗談を飛ばすが、今日は違う。テルヘルの冷たい視線を感じていたからだ。
「今回は大物だ。情報によると、ヴォルダン軍がこぞって探している遺物らしい」
テルヘルはそう言いながら、簡素な地図を広げた。ビレーからほど近い遺跡群の中心部にある未踏破の洞窟を示していた。ラーンの胸が高鳴った。大穴だと確信した瞬間だった。イシェは地図をじっと見つめ、眉間に皺を寄せた。
「あの洞窟は危険だと言われているぞ。内部構造が複雑で、 Collapse のリスクが高い」
「 Collapse?そんなもん気にすんな。俺たちが切り開くんだ!」
ラーンの言葉に、テルヘルは薄ら笑いを浮かべた。イシェはため息をつきながら、準備を始めた。
洞窟の入り口は狭く、不気味な静けさに包まれていた。一歩足を踏み入れると、冷たい風が吹き付け、ラーンの肌を刺した。イシェは後ろから続くテルヘルに声をかけた。
「何か感じる?」
テルヘルは首を横に振った。「何もない。だが、警戒が必要だ」
彼らは慎重に進んでいく。壁には奇妙な模様が刻まれており、まるで警告のように見えた。ラーンの背筋に冷たいものが這うのを感じた。
奥深くまで進むにつれ、空気は重くなり、息苦しくなった。イシェは懐中電灯を照らしたが、視界は限られたままで、深い闇だけが広がっているように感じた。突然、床から黒い煙が噴き出した。ラーンは咄嗟に身をかわした。
「 Collapse!逃げろ!」
イシェが叫んだ瞬間、洞窟の天井が崩れ始めた。彼らは必死に逃げ出すが、出口は閉ざされていた。
崩落で閉じ込められた彼らは、絶望的な状況に立たされた。外の世界と隔てられた空間の中で、彼らは自分たちの内面と向き合うことになる。ラーンは自分の無謀さを後悔し、イシェは冷静に脱出策を模索する。そしてテルヘルは、ヴォルダンへの復讐のために、どんな犠牲も厭わない決意を新たにする。