「よし、行こうぜ!」ラーンの豪快な声がビレーの朝静けさに響き渡った。イシェはため息をつきながら、いつものように彼の後を追いかける。今日はテルヘルからの依頼で、街から少し離れた遺跡へ行くことになっていた。
「あの遺跡、危険だって聞いたんだけど…」とイシェが不安げに言うと、ラーンは「大丈夫だ、俺が守る!」と胸を張った。イシェは彼の無謀さにいつも呆れているが、どこか安心できるものもある。
遺跡の入り口は崩れかけていて、中には暗い影が潜んでいるように見えた。テルヘルは冷静に地図を広げ、「ここには古代兵器が眠っている可能性がある」と説明する。「それを手に入れればヴォルダンにも対抗できるはずだ。」
イシェはテルヘルの言葉を聞いて、少しだけ希望を感じた。ビレーでは兵役の徴収が始まり、若者たちは次々と戦場へと送られていく。イシェもその対象年齢だったが、遺跡探索で稼いだ金で somehow 逃れられた。しかし、この世界に平和が訪れる日は来るのだろうか…。
遺跡内部は湿り気で充満し、足元には滑りやすい石畳が広がっていた。ラーンは先頭を切り、剣を構えながら進んだ。イシェは後方から弓矢を構え、警戒を怠らない。テルヘルは地図を頼りに道を進む一方で、遺跡の壁に刻まれた文字を解読しようとしていた。
すると、突然、地面が激しく揺れ始めた。天井から石が崩れ落ち、ラーンはイシェを庇いながら転倒した。「なんだこれは!」ラーンの叫び声が響き渡る中、遺跡の奥深くに巨大な影がゆっくりと現れた。