「よし、今回はあの崩れた塔だ」ラーンが地図を広げ、指差した場所にはイシェも何度か足を運んだ場所だった。いつもと変わらないラーンの声に、イシェはため息をついた。「またあの塔?あの崩れ物はもう何も残っていないぞ」
「いや、今回は違うって!ほら、テルヘルが言ってただろ?新しい情報が入ったって」ラーンは興奮気味に言った。テルヘルは地図を指さしながら続けた。「この塔の地下には、かつてヴォルダン軍が何かを隠したという話があるらしい。兵士たちが持ち帰った遺物の中に、奇妙な石碑の欠片があったようだ。それを元に調査を進めた結果、この塔の下に何かある可能性が高いと判断された」
イシェは眉間に皺を寄せた。「ヴォルダン軍が隠した物?そんな危険な遺跡に足を踏み入れるのは避けたいぞ…」
「大丈夫だ!テルヘルが言うには、その石碑の欠片には強力な魔力が込められているらしい。それを手に入れれば大金持ちになれるんだ!」ラーンの瞳は輝きを増していた。イシェは諦めたように肩を落とした。「わかった、行くか。でも今回は危険だと感じた瞬間に引き上げるぞ」
3人はビレーを出発し、崩れた塔へと向かった。塔の入り口には、かつてヴォルダン軍が使用したとみられる古い兵舎跡があった。朽ちかけた壁からは、兵士たちの影が忍び寄るように見えた。「ここには兵士たちの亡霊がいるって噂もあるぞ」ラーンが不安そうに言った。イシェは冷静に言った。「そんなもの気にしなくていい。幽霊なんかいるわけないだろう」
塔内部は薄暗く、埃っぽい空気が漂っていた。崩れた石畳の上を慎重に進む3人。やがて、地下へ続く階段を発見した。「ここに何かあるはずだ!」ラーンが階段の下を覗き込むと、かすかに光る物体が目に飛び込んできた。
「あれは…」イシェが近づくと、石碑の欠片が置かれていることに気づいた。その周りには、兵士たちの骨と錆び付いた武器が散らばっていた。「やっぱりヴォルダン軍が何かを隠したんだな…」
その時、背後から不気味な音がした。振り返ると、何者かが影から姿を現した。それは、朽ち果てた鎧を身につけた亡霊兵士だった。剣を抜き、3人に襲いかかってきた!