「よし、今回はあの崩れかけた塔だな！」ラーンが拳を握りしめた。イシェは眉間に皺を寄せながら、地図を広げた。「遺跡調査の許可証は下りたけど、あの塔は危険だと言われているぞ。特に地下部分は…」
「大丈夫大丈夫、イシェ。俺が先陣切って安全確認するから！ほら、テルヘルさん、どうだ？」ラーンが笑顔でテルヘルに視線を向けると、彼女は薄く唇を動かすだけだった。
「時間無駄にするな。準備はいいか？」
彼女の言葉は curt だったが、ラーンの興奮を冷ますには至らなかった。「よし、行こうぜ！」
崩れかけた石造りの塔は、まるで巨大な爪のように空に向かって聳え立っていた。入り口付近では、何者かが落としたと思われる錆びた剣が刺さっていた。イシェは不吉な予感を覚えた。
「おい、ラーン、あの剣…」
ラーンの足早さにイシェの言葉は届かなかった。彼は塔の中に飛び込んだ。テルヘルは静かにイシェに頷き、彼も後に続くように塔の中に入った。
塔内は薄暗く、埃っぽい空気で満たされていた。崩れ落ちた石や朽ち果てた家具が散らばり、かつて栄華を極めていた痕跡はほとんどなかった。
「ここは…」イシェがためらいながら言った。「何か感じる…不気味な雰囲気」
ラーンの足取りは軽やかだった。「大丈夫だ、イシェ。きっと宝の山が待っているぞ！」
二人が階段を上ると、広い部屋に出た。壁には不思議な模様が描かれており、中央には石の祭壇が置かれていた。祭壇の上には、光る球体のようなものが鎮座していた。
「これは…」イシェは息を呑んだ。「何か…強力なエネルギーを感じます」
その時、祭壇から不気味な音が響き渡り、部屋全体が震えた。球体はゆっくりと回転し始め、空中に奇妙な模様を描いた。
「何だこれは！」ラーンが剣を抜くと、イシェも daggers を構える。
突然、壁に埋め込まれた石板がスライドした。そこから何者かが姿を現した。黒曜石のような鎧を身に纏い、顔は覆われた男だった。
「お前たち…邪魔者は許さん！」
男は低い声で言った。彼の手に光る剣が握られていた。ラーンとイシェは互いに視線を交わし、決意を固めた。
「逃げないぞ、イシェ。俺たちが守る」
二人は男に向かって立ち向かった。
激しい戦いが始まった。ラーンの剣と男の剣が激しくぶつかり合い、イシェの daggers は男の攻撃をかわしながら隙を狙う。
しかし、男は強かった。二人がかりでも圧倒される勢いだった。その時、テルヘルが影から姿を現した。
「待て！」
彼女は男に向かって手を差し出した。
「公売だ…お前も知っているだろう。この遺跡の権利を手に入れた者は…」
彼女の言葉に男は一瞬躊躇する。その隙にラーンが渾身の力を込めて剣を振り下ろした。男は剣を落とすように倒れ込んだ。