ビレーの酒場で、ラーンが豪快に笑いながら酒を煽っていた。イシェは眉間にしわを寄せ、ラーンの横でため息をついた。「また遺跡の話か。いつまでその夢を見るんだ?」
「いや、今回は違うって!今度こそ大穴を見つけるぞ!」ラーンの瞳は輝いていた。「テルヘルが新しい遺跡の情報を入手したんだって!今回は絶対に成功する!」
イシェは諦めたように肩を落とした。ラーンにはいつも夢ばかり見ていると思われている。だが、イシェ自身もどこかで彼と一緒に大きな宝を見つけたいと願っていることを否定できないのだ。
翌日、三人はテルヘルの案内で遺跡へ向かった。そこは深い森に囲まれた古びた石造りの建造物だった。テルヘルは慎重な眼差しで周囲を警戒しながら、「ここはヴォルダン軍が以前調査していた場所だ。危険な罠が仕掛けられている可能性が高い」と警告した。
遺跡内部は薄暗く、湿った空気中にカビの臭いが漂っていた。ラーンは興奮気味に剣を抜いて先頭を歩いた。イシェは後方から彼を見守りながら、足元を注意深く確認した。テルヘルは地図を広げながら、遺跡の構造を分析していた。
深く進むにつれて、遺跡の雰囲気が重くなっていった。壁には不気味な絵画が描かれており、床には奇妙な記号が刻まれていた。イシェは背筋に寒気が走った。
突然、ラーンの足元から水が噴き上がった。ラーンは驚いてバランスを崩し、近くの柱に激突した。同時に、壁から矢が飛び出してラーンめがけて飛んできた!
イシェは咄嗟にラーンを押し倒し、矢を受け止めた。鋭い痛みが彼女の左腕を貫いた。
「イシェ!」ラーンの叫び声が響き渡った。テルヘルも剣を抜いて敵に襲いかかった。
激しい戦いの末、三人はなんとか罠を突破した。イシェは傷ついた腕を抱えながら苦しみながらも立ち上がった。「大丈夫だ…大丈夫…」と彼女は息を切らしながら言った。
ラーンの表情は険しかった。「お前が犠牲になって…俺のせいで…」
イシェは微笑んだ。「私は自分で決めたことよ。それに、お前が守ってくれたからこそ生き延びられたのよ。」
その時、テルヘルは何かを発見した様子で、興奮した声で言った。「これは!ここに隠された部屋があるようだ!」
三人はテルヘルの後をついて、新しい部屋へと進んだ。そこには、黄金の光を放つ宝の山が積み上げられていた。ラーンの目は丸くなり、イシェも思わず息をのんだ。
「ついに…大穴を見つけた…」ラーンは震える声で言った。
しかし、その時、テルヘルが不自然な動きをした。彼女はラーンの後ろに回り込み、彼を背後から刺したのだ!