ラーンの大 swing が遺跡の奥深くにある石壁に炸裂した。埃が舞う中、イシェが眉間にしわを寄せた。「また壊したじゃないか…」
「あはは! 気にすんなよ、イシェ! そんなとこで引っかかるような仕掛けじゃなかっただろう?」ラーンは豪快に笑った。だが、彼の視線は石壁の奥へと鋭く向けられていた。
「何かあったのか?」テルヘルが鋭い眼差しでラーンの表情を伺う。彼女はいつも冷静沈着で、ラーンの行動には常に疑いの目を向けていた。
「いや、別に… あれ?おい、イシェ、あの光は! 」 ラーンが指差す方向に、薄暗く光る空間が開かれていることに気づいたイシェは息を呑んだ。その奥には、輝く宝石が散りばめられた広間が広がっているように見えた。
「これは…!」 イシェの言葉を遮るかのように、テルヘルが駆け出していった。「待て!」ラーンの叫びも虚しく、彼女はすでに光る空間へと消えていく。
「おい、テルヘル! 無理だぞ!」 ラーンはイシェに振り返り、慌てて彼女の手を取った。「行くぞ、イシェ! あの空間には何かあるはずだ!」
二人は互いに手を強く握りしめ、テルヘルの後を追うように遺跡の奥へと進んでいった。しかし、彼らの前に広がるのは宝石が輝く部屋ではなく、深い闇だった。そこには、巨大な影が蠢いていた。
「これは…」 イシェは恐怖で声も出なかった。ラーンも、初めて感じる恐怖に言葉を失った。
テルヘルが振り返り、不気味に笑った。「児戯に過ぎない。これが、ヴォルダンへの復讐の始まりだ。」