先頭

列や集団の最も前の位置。

物語への影響例

リーダーシップと孤独の共存。方向性を示す役割と責任。集団における個の位置。

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ラーンの大きな手が岩壁に食い込んだ。汗が額を伝い、目の前には光る結晶がちらつく。イシェは背後から「もう少しでだ」と声をかけたが、ラーンの脳裏には別の光景が広がっていた。それはビレーの酒場で、豪快な笑いを浮かべる自分と、イシェが渋い顔をする場面だった。

「よし、わかったぞ!」

ラーンの言葉にイシェは小さく頷き、テルヘルは鋭い目で周囲を見渡した。彼らはヴォルダンとの国境近くに位置する遺跡を探検中だった。テルヘルが持ち込んだ情報によると、この遺跡にはヴォルダンが欲しがっている古代の武器があるとされていた。

「先頭」の探索を命じられたのはラーンだった。彼の力が必要な場所だ、とテルヘルは言った。イシェは少し不安そうにラーンの肩に触れたが、彼はにっこりと笑って頷いた。

岩壁を突破すると、そこは広大な洞窟だった。天井から光が差し込み、中央には巨大な祭壇がそびえ立っていた。その祭壇の上には、金色の輝きを放つ剣が刺さっていた。

「あれだ!」

ラーンは興奮気味に剣に手を伸ばしたが、イシェは彼の腕を掴んだ。

「待て、ラーン。何か変だ」

イシェの言葉通り、祭壇の周りは奇妙な静けさに包まれていた。空気中に微かな熱を感じ、ラーンの背筋がぞっとした。その時、洞窟の奥から低い唸り声が聞こえてきた。

「何だ?」

テルヘルが剣を抜く。イシェはラーンの手を強く握りしめ、恐怖を抑えるように深呼吸をした。

影の中から巨大な怪物が現れた。その姿は、まるで溶けた岩を固めたような grotesquerie で、鋭い牙と爪が光っていた。

「これは…」

テルヘルは言葉を失った。イシェはラーンの顔を見つめ、彼の目には決意の色が宿っていた。

「行くぞ、イシェ!」

ラーンは剣を抜くと、怪物に突進した。イシェは深く息を吸い込み、後を追いかけた。