「よし、今日はあの洞窟だ！」ラーンが目を輝かせ、地図を指差した。イシェは眉をひそめた。「またそんな危険な場所？あの洞窟は崩落の危険が高いって聞いたぞ」。ラーンの豪快な笑い声は、イシェの冷静な言葉を吹き飛ばした。「大丈夫だ、大丈夫！俺たちにはテルヘルがいてくれるんだろ？」
テルヘルは、いつものように鋭い視線で二人を見つめていた。彼女の唇はわずかに微笑んでいた。「確かに危険だが、その分報酬も高い。あの洞窟には、ヴォルダンに奪われた私の大切なものがあるかもしれない」彼女の言葉に、ラーンとイシェは互いに顔を見合わせた。
「儲け話だなぁ」ラーンの瞳が輝きを増す。「よし、行こうぜ、イシェ！」
彼らはビレーの喧騒を背に、山道を登り始めた。テルヘルの後ろをついていく彼らの足取りは、どこか重かった。洞窟への道は険しく、崩れそうな岩場を慎重に渡らなければならなかった。それでもラーンとイシェは、テルヘルの言葉に鼓舞され、一歩ずつ進んでいった。
洞窟の入り口に差し掛かると、冷たい風が吹き荒れた。「ここからは俺たちが先導するぞ」ラーンの剣が光り始めた。イシェは静かに頷き、 daggersを握りしめた。テルヘルは三人の背後から、鋭い視線で周囲を見渡した。
洞窟の中は暗く湿っていた。足元には滑りやすい石畳が広がり、天井からは滴る水音が響いていた。彼らは慎重に進んでいくにつれて、壁に刻まれた古代の文字を発見した。「これは...！」イシェが驚きの声を上げた。ラーンの表情も一変した。
「もしかして、これがテルヘルの...？」
その時、洞窟奥から不気味な音が響き渡った。三人は一瞬で剣を構えた。闇の中から、何者かがゆっくりと姿を現してきた。