「よし、ここだ!」ラーンが興奮気味に叫んだ。 朽ち果てた石造りの扉の前で、イシェは眉間にしわを寄せた。
「またか、ラーン。あの扉は既に開けてるぞ。中に何もないって何度も言っただろう」
「いや、今回は違う!俺の直感だ!」
ラーンの言葉に、イシェはため息をついた。「君の直感はいつも怪しいものばかりだ」と呟きながら、それでもラーンの後ろをついていく。テルヘルは静かに、彼らを見つめていた。
扉を開けると、薄暗い部屋が広がっていた。埃っぽい空気が立ち込めており、床には崩れ落ちた石や朽ち果てた家具が散らばっている。
「ほら、言っただろう!」ラーンは興奮気味に部屋の中を走り回ったが、イシェの言葉通り、何も見つからなかった。
「やっぱり何もないじゃないか」イシェは呆れたように言った。ラーンの顔色が曇り始めた。「おい、テルヘル。何かあるんじゃないのか?」
テルヘルは静かに周囲を見渡した。「この遺跡は、ヴォルダン軍が略奪した際に徹底的に調査されている可能性が高い。残された物はほとんど償却されているだろう」彼女の言葉に、ラーンとイシェは落胆した。
「じゃあ、今回は本当に無駄足だったのか…」ラーンの肩が落ち込んだ。
その時、テルヘルが何かを見つけたように立ち止まった。「待て」彼女は床にある石畳の隙間を指さした。「ここを見てみろ」
イシェが近づいてみると、石畳の隙間からわずかに光が漏れているのが見えた。「これは…!」イシェは驚きの声を上げた。
「何だ?」ラーンも駆け寄ってきた。テルヘルは小さく頷いた。「この遺跡にはまだ秘密が残されている可能性がある。償却されたと思われていても…」
彼女は三人に目を向け、「これからも一緒に探索しよう」と静かに言った。ラーンの顔に再び希望の光が灯った。イシェも、テルヘルの言葉に何かを感じたようだった。
彼らは再び遺跡の中へと進んでいった。償却された場所から、新たな発見を求めて。