ラーンがいつものように、大口を開けて笑った。「よし!今日は絶対何か見つかるって気がするんだ!」
イシェはため息をついた。「またそんなこと言って。遺跡探索なんて、準備と運だと言ってるじゃないか。」
「準備?ああ、もちろんな。俺の剣が最高の準備だろ?」ラーンは腰にある剣を撫でながら言った。
イシェは眉をひそめた。「剣だけでは何も始まらないわ。地図、道具、そして情報収集も必要でしょ。」
そのとき、テルヘルが合図を送った。「準備はいいか?入ろう。」
彼らは遺跡の入り口に立っていた。薄暗い石造りの階段が、奥へと続く。ラーンの興奮を抑えきれない様子を見て、イシェはため息をついた。いつも通り、彼は何も考えていないようだ。
「待て、ラーン。」イシェは彼の腕を掴んだ。「今回は少し違うぞ。テルヘルが言ったように、この遺跡は危険らしい。罠や魔物がいるかもしれない。しっかり準備をしてから入らないと。」
ラーンの顔色が少し曇った。「準備?もういいだろ!俺たちに備えがあれば大丈夫だ!」
イシェは彼の言葉を無視して、背負っている袋から地図を取り出した。テルヘルが事前に手に入れた情報によると、この遺跡には強力な魔物が封印されているらしい。慎重に進まなければ、命を落とすかもしれない。
「まずは罠がないか確認しよう。」イシェは慎重に足取りを確かめながら、階段を降り始めた。ラーンは後ろからイシェの言葉を繰り返した。「罠がないか確認するって…いつもそう言ってるわ。」
テルヘルが鋭い視線で周囲を警戒しながら歩いていた。彼女の表情は常に冷静だった。彼女は何かを知っているのかもしれない。イシェは彼女に不安を感じた。
「イシェ、準備はいいかい?」ラーンの声が聞こえた。
イシェは深く息を吸い込み、ゆっくりと頷いた。「準備はいいわ。」
彼らは遺跡の中へと足を踏み入れた。
薄暗い空間の中で、彼らの冒険が始まった。