ビレーの喧騒を背に、ラーンとイシェはテルヘルに従い、遺跡へと足を踏み入れた。今回はテルヘルが特に熱心に調査を進めていた場所だった。地図に記された「月の泉」と呼ばれる地点だ。
「この遺跡は、ヴォルダン軍が何かを探していた痕跡がある。もしかしたら、あの事件に繋がるものが見つかるかもしれない」
テルヘルの言葉にラーンは、いつものように力強く頷いた。イシェは眉間にしわを寄せて地図を確認する。
「月の泉…だと？あの伝説の場所か…」
イシェの mutter にラーンが聞き返すと、「ああ、昔、この地に住んでいた人々が崇めていた泉だそうだ。月の光で満たされた水には、不思議な力があると伝えられている」と答えた。
遺跡内部は薄暗く、湿った冷気が漂っていた。石畳の道に沿って進むにつれて、壁には古びた絵画が描かれていた。ラーンの目は輝き、「宝だ！きっと何か宝が見つかるぞ！」と興奮気味に言った。イシェは彼の様子を呆れた目で見て、「落ち着いて。まずは目的を達成しよう」と冷静に諭す。
彼らは道なりに進んでいくと、やがて広間に出た。中央には、月のような銀色の光を放つ泉があった。その周囲には、何やら奇妙な装置が設置されている。テルヘルは真剣な表情で装置を観察する。
「これは…月の光を集める装置だ。そしてこの泉の水…偽物ではないか？」
テルヘルの言葉にラーンとイシェは驚いた。偽物…？
「ヴォルダン軍は、この遺跡の真の秘密を知っていたのか…」
テルヘルはため息をつき、「あの事件の裏には、何か大きな陰謀が隠されている。そしてこの泉…それは真実を握っている鍵なのかもしれない」と呟いた。
ラーンは拳を握りしめ、「ヴォルダンに復讐を果たすために、この謎を解明するんだ！」と叫ぶ。イシェも、ラーンの言葉に力を込めながら頷き、テルヘルと共に遺跡の真実に迫ろうと決意した。