ビレーの朝はいつも早かった。ラーンが目を覚ますと、イシェがすでに準備を終えていた。「今日はあの遺跡だな」とイシェが言う。「テルヘルが情報を持ってきたぞ。ヴォルダンとの国境に近い場所らしい。危険だと言っていた」。ラーンの顔に血色が戻る。「危険なほどいいものがあるってわけか！」
テルヘルはいつも冷静だった。地図を広げ、「ここだ」と指さす。「古い記録によると、ここは古代の王が眠ると言われている。遺物はもちろん、強力な魔導具も眠っている可能性がある」。ラーンの目は輝き、イシェは眉をひそめた。「そんな危険な場所に？」
「危険だから報酬がいいんだろ？心配するな、イシェ。俺たちにはラーンがいるだろ」とテルヘルが言った。ラーンの胸が高鳴る。冒険、そして大穴への夢。
遺跡の入り口は崩れかけていた。一歩踏み出すと、冷気が襲いかかる。内部は薄暗く、埃が舞っていた。ラーンが先頭を切って進む。「何かいるぞ！」イシェの声が響き渡った。影の中から獣のような怪物が現れた。剣を構えるラーンに、イシェは素早く矢を放つ。激しい戦いが始まった。
テルヘルは冷静に状況を見極めていた。その時、壁の奥から光が漏れてきた。「何かあるぞ！」とラーンの声がする。壁をこじ開けると、そこには古代の宝箱があった。興奮したラーンが宝箱を開けると、中に書かれたのは一枚の地図だった。「なんだこれは？」ラーンの顔色が変わった。地図には、ビレーから遠く離れた場所を示していた。そしてその場所に記された名前は...
「ヴォルダン」
イシェとテルヘルが顔を見合わせた。偶然か、それとも何か別の力によって導かれたのか。謎は深まるばかりだった。