ラーンの豪快な笑いがビレーの朝霧を切り裂いた。イシェはいつものように眉間に皺を寄せながら、彼の背後から「そんなに大げさな話じゃないだろう」と呟いた。
「だが本当にあったんだって!あの遺跡の奥深くで、巨大な金の像が見つかったらしい!」
ラーンの目は輝いていた。イシェは彼の大胆さは認めていたが、その楽観的な思考にはいつも頭を抱えていた。「噂話に踊らせないでよ」と冷静に告げるも、ラーンは既に次の遺跡探検の計画を練り始めていた。
その時、背後から声がした。「二人とも、今日は仕事だぞ」。テルヘルが鋭い視線で二人を見据えていた。彼女の冷たい言葉に、ラーンの興奮も少し冷めたようだ。
「今日はヴォルダンとの国境に近い遺跡だ。危険な場所だが、報酬はいい。協力してくれ」
テルヘルの言葉にはいつも重みがあった。イシェはラーンの顔をのぞき込み、「今回は本当に慎重に行こう」と静かに告げた。ラーンは頷くも、どこかそわそわした様子だった。
遺跡への道は険しく、周囲にはヴォルダン兵が潜んでいる可能性もあった。彼らは警戒しながら進み、ついに遺跡へとたどり着いた。
内部は暗く湿っていた。イシェが慎重に足取りを確かめながら進むと、ラーンはいつものように無茶な行動に出ようとした。「待て!」イシェの制止でラーンは渋々立ち止まった。その時、壁から不規則に伸びる影が目に入った。
「何だ?」イシェが近づくと、影の中から奇妙な模様が浮かび上がった。それはまるで古代の文字のようだった。ラーンの好奇心は刺激された。「これは何か大発見じゃないか!」と彼は興奮して叫んだ。
イシェは慎重に文字を解読しようと試みたが、意味は分からなかった。その時、壁から突然風が吹き出した。ラーンはバランスを崩し、転倒してしまった。同時に、壁の模様が光り輝き始めた。
その時、彼らは驚愕の事実を知る。それは偶然、壁に刻まれた古代の仕掛けだったのだ。そして、その仕掛けは彼らを別の場所に飛ばしてしまう運命にあった。