ラーンが遺跡の入り口で、興奮気味に石碑を指さした。「おいイシェ、見てみろ!こんなところにこんな立派な石碑があるなんて!」
イシェは眉間にしわを寄せて石碑を見つめた。確かに装飾が施された立派な石碑だが、周囲には他の遺物など何もない。「何だかわからないけど、ただの飾り物じゃないか。ラーン、また大穴が見つかったと勘違いしたんじゃないだろうな?」
「違うって!この石碑、何か書かれてるぞ!」ラーンは興奮気味に石碑の表面を撫でた。「古代文字だ!きっと何か重要なメッセージが隠されてるはずだ!」
イシェはため息をついた。「ラーンの言う通りなら、テルヘルに報告すべきだろう。彼女なら解読できるかもしれない」
その時、テルヘルが後ろから近づいてきて、「何をしている?」と冷たく尋ねた。ラーンは慌てて石碑を指さして説明する。テルヘルは石碑をじっと見つめた後、鋭い視線でラーンに言った。「この石碑はただの飾り物ではない。ヴォルダンの侵略以前から存在する、ある偶像の祭壇の一部だ」
「偶像?」ラーンの顔色が一瞬変わった。「どういうことだ?」
テルヘルは口元を少し歪めて言った。「この遺跡には、かつてヴォルダンが崇拝していた偶像が眠っていると伝えられている。その偶像は、ヴォルダンに莫大な力を与えたと言われる」
イシェは不安そうに言った。「もし本当にそんな偶像が存在するなら、ヴォルダンはそれを手に入れるためにどんな手段も使うだろう。ここは危険すぎるぞ」
ラーンは興奮を抑えきれない様子で言った。「でも、もしあの偶像を手に入れたら…」
テルヘルはラーンの言葉を遮った。「偶像の力は恐ろしいものだ。我々はそれを手に入れるためにここに来たのではない」彼女は冷たく言った。「我々の目的はヴォルダンに復讐することだ。そしてそのために、この遺跡の秘密を解き明かす必要がある」